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結果として最悪の換気方法を普及させてしまった日本

 天井換気装置の普及とラドン濃度

UNSCEAR2008は換気装置を止めた状態で議論しています。これは別ページでも解説していますが、室内のラドン濃度は換気方法によってどのようにでも変わるからです。密室下部にラドンが蓄積することが分かれば、誰でも簡単に効果的な換気方法が分かります。床または壁の出来るだけ下部に排気口を開ければ良いのです。ところが日本の住宅メーカーや空調機器メーカーはラドンの危険性に全く気づいておらず、結果として最悪の換気法を日本に普及させてしまいました。

日本の建物はエアコン使用を前提に気密性を限界まで高めました。室内にいる人が酸素不足と二酸化炭素過剰で不快感を感じないように、最低限の換気装置を設置しました。吸気と排気のパイプは途中で交差して熱交換をするので、換気装置を動かしても熱効率は下がりません。今や建物の窓の多くが開かないはめ殺しなので、エアコンは夏と冬だけですが、換気装置は一年中作動させます。

今皆様がおられる部屋の天井を見て下さい。中央近くにエアコンがあると思います。エアコンとは別に換気口があるはずです。換気口は吸気口と排気口が一体となったものか、吸気口と排気口が離れているかのどちらかです。室内のラドン濃度は吸気口の位置にはあまり依存しません。ところが排気口の高さには大いに依存します。排気口が床にあれば重いラドンはどんどん排出されて室内の空気はすっかりきれいになりますが、日本のように排気口が天井にあれば、天井付近のラドン濃度の低いきれいな空気を屋外に捨ててしまいます。吸気のラドン濃度より排気のラドン濃度が低いので、部屋全体のラドン濃度は増加します。この増加は吸気と排気のラドン濃度が一致するまで続きます。

UNSCEAR2008は換気装置を動かしていない状態で天井付近のラドン濃度が外界の1/10で床付近のラドン濃度が外界の10倍となることを想定していますが、それに対し日本式の天井排気装置を動かし続けた場合、天井付近のラドン濃度が外界と同じになった時に床付近のラドン濃度は外界の100倍にも上がっています。そして我々は毎日床に布団をひいて眠っているのです。このような寝室で毎日8時間過ごし、残りの16時間は屋外または屋外と同じラドン濃度の場所で過ごしたとしても、年間の被曝量は40mSvを超えます。これは人口1億人あたり毎年20万人が肺がんで死亡することになります。ましてや職場も建物の1階でエアコン使用を前提とした気密性の高い部屋で天井排気なら、通勤や買い物や外食などを除いた一日の大部分をラドン濃度の非常に濃い場所で過ごすことになり、年間の被曝量は100mSvにもなります。つまり今の日本でどこにでもあるような、一戸建て建築物または集合建築物の1階でエアコン使用を想定した天井排気の部屋のラドン濃度は、UNSCEAR2008が想定した最悪のラドン濃度のさらに10倍にも昇ってしまうのです。

意識していなかったとは言え、ラドンについて全く無頓着で、ラドンによる被曝に関して最悪の空調装置を開発し、ほとんどの新築建造物に設置した建築業者は、日本人一千万人のがん死に直接責任を持つべきC級戦犯と言えます。

放射線障害防止法では、その場所に24時間365日留まった場合の被曝量が年間20mSvを超える場所は立ち入り禁止区域にしなければなりません。現在の日本では多くの住宅の寝室が立ち入り禁止とすべき事態になってしまっているのです。

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