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ラドン対策は国際常識!? 国際社会と日本国内の対応

国連の中には「放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR: United Nation Scientific Committee for the Effects of the Atomic Radiation)という組織があります。世界中から200人余りの放射線の専門家が集まって、人間の健康における放射線の影響について新しい発見などがあれば世界中の政府に報告する役割を持っています。

UNSCEARは2008年に、「空調が普及すると建物内下部にラドンが集積する」という報告しました。空調が普及すると建物の気密性が高まります。するとラドンの密度は空気の7.5倍であることから、気密区画の下部に集積すると指摘したのです。

この報告を受けてWHOは2009年に「室内のラドン濃度が屋外の4.5倍以上なら空調の改良工事を行う」ように各国政府へ助言しました。気密区画の下部に排気口を開けるだけでラドン濃度は屋外と同程度に下がります。
米国政府は全ての住宅にα線測定器を設置し、全住宅のラドン濃度を測定しています。また「Prevent Lung Cancer: Test Your Home for Radon(肺がん予防のため自宅のラドンを測ろう)」という呼びかけをおこなっています。欧州諸国も米国とほぼ同様の運動をおこなっています。

しかし日本では放射線に強い不安を抱く人が多くいるにもかかわらず、これらの報告や対策が周知されているとは言えません。つまりに世界各国、特に先進国の中で日本政府だけがUNSCEARの報告やWHOの助言を無視しており、何の対策も取っていないのです。

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