ラドンは不活性ガスであり、化学反応で他の原子に吸着させたり水などの液体に溶かすことはできません。ラドン濃度を下げる唯一の方法はラドンが空気と比べて非常に重い気体であることに着目し、外気を対流の少ない密室に入れて上下に濃度の偏りを作り、上部に溜まったラドン濃度の低い空気を生活に利用し、下部に溜まったラドン濃度の高い空気を排気することです。ただし、床や下部の壁に対してむやみに穴を開けることは様々な弊害が発生するため、安易に行うことは推奨しません。
図1と図2は、弊社の推奨する最も簡単な対策例を図示したものです。
すでに天井換気装置がある場合、図1のように天井の排気口にできるだけ近い壁面にパイプを立てて、パイプの下端は床ギリギリとし、パイプの上端は90度曲げて天井排気口に繋ぎます。後付けしたパイプによって天井の空気を排出していた換気を床付近の空気を吸い上げるように変更することにより、部屋の床付近のラドン濃度を屋外と同程度にすることが可能です。
また天井換気装置がない場合は、図2のように部屋の扉の下部に通気口を開けることでもラドン対策を行うことは可能です。通気口から出たラドンは、2階廊下・階段・1階廊下を通って家の中で最も低い玄関土間に集まります。そのため玄関土間の低い位置に排気口を設けて土間の空気を外へ排出することをお勧めします。これらによって個々の部屋の床付近のラドン濃度は屋外と同程度にまで下がります。
図1:すでに天井換気装置がある場合
図2:天井換気装置が無い場合